• 山本寛之

山を基準に考える。とはなんぞ

先週は本年度最後の信州での打ち合わせでした。


3日間のスケジュールは全て雨。3度近く雨とみぞれの中、バイクで気力を振り絞っての旅でした。それでも得たものは大きかった。今回は自身も所属する社団法人ソマミチでの勉強会 “山の棚卸し“というプロ向けのイベントが松本市内田の所有林で行われました。




丸太一本からできる商品の価値から木の値段を考え、山の価値を図る。


プラスチックなどの石油製品は原油の値段から最終的な製品の価格に合わせて商品の仕様・クオリティが決められていきます。しかし、木材というものは産地や伐採期はもちろん、木一本とて同じものがなく、良い木・悪い木と商品の都合によって木が選別されてしまいます。そうなると製材所も使われる丸太の一部だけに価値が残り、あとはお金にならない二束三文の丸太として扱われてしまう。つまりは製材所側にとってリスクを抱えうことにもなるので当然丸太一本の値段は安く見積もられてしまいます。これが生産者側を経済的にも生産者の意欲も支えることができず、ウッドショックを無駄に長引かてしまう今の日本の山の問題点も見えてきます。


製品の材料として満遍なく使われれば、丸太一本にはしっかりとした価値が与えられ山の価値も明確になり、生産者の目指すべき方向性も見えてくる。国産の木を使えばSDGSだ!ではなく、丸太一本を無駄なく使い切ることが山への還元につながり、健全な形で次の世代へと引き継がれることになります。石油は使えば枯渇するもの、しかし木は使うことで次の山が育つ日本の還元型社会のモデルが出来上がるのだと思います。



現地では大工、設計士、林業士、興味を持たれた個人なども集まり、まずは赤松の木37本全ての太さ、高さなどを記録しました。木の高さも伐採前に竿を使ったり腕の長さの棒を使って目測する方法など山の仕事のノウハウも教えてくれました。

試験伐採した木材は当然曲がりもあるので、どこの長さで切れば何に使えるのか皆でディスカッション。まさに木を読む作業です。構造材、外壁材、造作材、カウンター材はもちろん、上の細い部分は炭焼きの炭に適したサイズもあったりとまさに目から鱗。30分くらいの作業でしたが丸太一本を美味しく調理することができました。丸太一本の価格もわかり、データ化することで山の価値もわかる。また需要に対して何番の木を切れば良いのか、それがまた何年後に適齢期になるのかなど山の資産データマップが完成します。

今やAIは当然になってきましたが、いずれ森のスキャニング装置や丸太のデータ管理なども簡易に行われ、山の資産データ化とともに職人の高齢化なども解決されていくことでしょう。そして山に還元されるために山元には中小規模の製材所とそれを活かすことができる業種が集まり山の木を効率よく使う仕組みを作ること。そして、そのシステムを各地方の山に構築することが理想の形なのかと思います。

戦後の丸裸な山に植林された苗木は今や伐採期、しかし山を活かすシステムが確立されておらず森林国日本もウッドショックの影響を大きく受けております。今ある森から木を切り出すことは簡単ですが、丸太を無駄なく使い山にお金を戻すことが重要でウッドショックの波に紛れて乱雑に使うだけではまた戦後の山に戻るだけです。

家を建てるエンドユーザーもこうした木を使う仕組みの重要な一端になっております。ウッドショックの原因は色々謳われておりますが、今どのような家づくりをするかでいずれくるであろう次のウッドショックにも強い森を次の世代に残すことができると思います。

顔が見える信州の木を使った家づくり、改めてその方向性が確かなものであることを確信した遠征でした。







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