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hilo yamamoto

KIBARIの家 信州を訪ねて


今回の信州の旅、とても大きな成果がありました。

初日は群馬県の小井土製材所の視察。群馬県産材を使ったツーバイーフォー材の生産に3年前に取り組まれました。難しい話になるのですがKIBARIも得意とするツーバイフォー工法の構造材生産は、実は中小製材業社が扱うには利益も少なく設備投資もかかりハードルが高かった。そんな仕組みの始まりは1960年代のエネルギー革命、東京オリンピックくらいにまで遡り、北米材輸入の政治的な圧力に押されて国内でのツーバイフォー材生産はとても厳しい状況に置かれてきました。KIBARIの家も外壁や内装だけでなく、構造材に少しでも国産材の選択肢ができないかと模索してきましたが、

外材の高騰や不安定な価格変動など時代的なタイミングも重なり、大きくなくとも志高く取り組む製材業者さんと出会えたことはとても心強い限りです。しかも小井土製材さんはアメリカ国内で不足しだした米杉に変わる日本の杉をアメリカに輸出するなど兎に角かっこいいのです。

(写真右:海外に輸出される杉材。あえて黒味が多いものを集め、ラフな仕上げにしています。)

国産材の自給率は17年前くらいは15%を下回っていましたが、今は40%くらいまで上がってきているようです。オリンピックなどの短期的大量消費は除いての数値らしいので住宅や公共などでのベースでの利用率が上がってきたのだと思います。国内林業との生産バランスを考えれば50%くらいがちょうど良いらしいので、もうひとがんばりまできています。

山と製材所は切っても切れない関係ですが、実は山と消費地との間に製材業が入り込んだ為にお互いの関係が希薄になってしまったというのも事実です。山を知り消費地を知る、ここが循環型社会の基本だと思います。まさに知山知消。

右から小井土製材株式会社 取締役社長小井土氏、林友ハウス工業竹腰氏、KIBARIチーム 設計担当 山本、不動産担当 当山氏、西村氏

視察2日目は長野県北相木村の主伐林業を見学。皆伐に良いイメージありませんでしたがよく知らないだけでした。50年生くらいのカラマツが現在の需要などを考えると伐採適齢期。それ以上となると大きな構造材になり対応する製材設備や建築側での使い道も確保しないとただ大きな木として残され(本当は素晴らしいのですが)価値も下がってしまいます。製材を含めた素材を生産する山でどのような木を育てていくか、それは50-100年スパンでの判断となるので山と消費地が一つになって将来のあり方を考えないと答えは出ないかと思います。

今回視察した北相木村は良質なカラマツを宝とし、わずか735人の村が地元資源で暮らすためにカラマツの植林という舵を切ったこと、小さいながらも志し大きく取り組む姿はKIBARIの家づくりに通づるものがありました。間伐ではなく主伐によって林業を進めるためのお金を生み出し、新たなカラマツの森につなぐという判断は小さな村だからできるフットワークの良さにもあるのかと思います。

湘南などでの消費地では”木を切れば、間伐材を利用すれば、再生エネルギーを使えばエコにつながる” ”日本の木をとにかく使えば循環型社会に貢献する” そんな程度の理解しかないと思います。

山側も汗水かいて育てた木がどう使われているか知ることもなく、消費地もどんな山の生き方があり、どんな思いで木を育て、これからどう育てていくか知る由もありませんでした。山が見えない家づくり、使い手・つくり手が見えない山づくりではなく(モノで繋がった時代から)人で繋がる時代にしなくてはなりません。

今回の視察を通じて KIBARIの家はお互いの発信者となり受信者でもあるべきだと思います。山と消費地をダイレクトにつなぎ同じ未来図を描くことで、大きく循環するムーブメントを起こすことができると実感しました。それが本当の循環型社会の構図なのではないかと思います。

左から竹腰氏、KIBARIの家オーナー福田氏、KIBARI西村氏、南佐久中部森林組合 井出氏、北相木役場坂本氏、KIBARI当山氏そして山本。山の年齢層は以外に若い!

カラマツの価値を高め、山と消費者をダイレクトに繋ぐKIBARIの家の価値と可能性を改めて感じました。これからも湘南から山の姿を発信していきたいと思います。

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